研究開発
T.K
2013年 中途入社
Tさんは、いわゆる「転職組」ですが、雑賀を選んだ理由・キッカケを教えてください。
結婚を機に和歌山市民になり、前職と同じ分析関係での再就職先を探していたところ、ハローワークの担当者に勧めていただきました。そのときに「この名前見たことあるなぁ」と。
新卒の就職活動時に全国の分析関係の会社を調べたので、「和歌山に雑賀技術研究所がある」ことは知っていました。
ですが、当時はHPでの情報が少なく、また、「一般財団法人」というものに私自身馴染みがなかったので、「少し怪しい会社なのでは……」と感じたことを思い出しつつ(笑)面接をうけ、今に至ります。
ハローワークさんが言うならまぁそこまで怪しくはないだろう、と(笑)
そうです。あと、パートだったので、あまりにもおかしなところだったら辞めたらいいかなと(笑)
分析サービス部にパートで採用され、現在は正職員として短時間勤務制度(以下、時短勤務)を活用しながら「アレルゲン一斉分析法」の研究・開発に取り組まれています。どのような経緯で開発に携わることになったのでしょうか?
育児休業中に、研究開発室に異動する連絡を受けました。復帰後は時短勤務を希望していたので、「研究補助をするのかな?」と軽く考えていました。残留農薬分析事業にいた方が一足先に研究開発室に配属されていたので、その人を補佐するイメージです。
ですが、話をよくよく伺うと、アレルゲン分析の「担当」とのことでしたので驚きました。現在も時短勤務中ですので、「限られた時間の中で、成果を出すにはどうしたらよいか」を意識して業務に取り組んでいます。
分析サービスと研究開発とで仕事の取り組み方などに違いはありますか?
分析サービス部では、社内で既に定められた分析法を遵守することが大切でした。お客様に誤った結果を出さないためです。
対して研究開発室では、分析法を確立し、新たなサービスや商品に繋げることが仕事です。まだ誰もよくわかっていない事への挑戦となります。仮説、実験、検証……この繰り返しで、費やした時間の割に結果がイマイチ、ということも多いです。だからこそ、良い結果が得られたときの嬉しさは大きく、やりがいを感じる瞬間です。
配属当初から取り組んできた「LC-MS用食物アレルゲン標準品」の開発プロジェクトでは、大きな経験を積むことができました。
昨年、一斉分析手法による「LC-MS用食物アレルゲン標準品」が製品化されました。これはひとまずのゴールでしょうか?
いえ、製品化はスタート地点であり、やっとそこに立てたと思っています。今までは準備といったところでしょうか。
研究開発のゴールは、プロジェクトそのものが終わるときだと思っているので、そうならないためにも製品の改良や、今回培った技術を新たなサービス提供などに繋げていけたらなと思っています。
そのためには、今の段階から次のことを考えておく必要があると思っていますので、気になったことはリスト化しておき、時間のある際に調べたりしています。
終わる、といえば分析サービス部で行っていた残留農薬分析事業が終わったときはどうでしたか。また、「アレルゲン一斉分析法」の開発の中で活きているものはありますか?
終わるときはとてもショックでした。ですが、事業としての継続は難しいだろうな……というのも同時に感じました。先ほど「ゴールはプロジェクトそのものが終わるとき。そうならないために、新たなサービスなどに繋げる必要がある」と言いましたが、分析サービス部はそこが弱かったんじゃないかと。
雑賀は残留農薬一斉分析のパイオニアだったけれど、時代に追いつかれ、追い越されてしまった。私自身が、もっと次のことを考えて行動していれば何か変わったのかもしれない、今のままでは駄目なんだと、そのときの経験が今の考え方につながっています。
ただ、アレルゲン分析の手法には残留農薬分析で培った技術が活きています。事業は終わってしまいましたが、技術を別の場所で活かすことができているのは、嬉しく思います。
やりがいのひとつとして「学会発表」も挙げられていました。
人前で話すことは苦手ですが、外の意見を直接聞くことが出来る貴重な機会だと思っています。
時には厳しいご意見もありますが、それも含めて様々なご意見をいただけるのは、皆さんがアレルゲン一斉分析法に興味を持っていただいているからこそだとポジティブにとらえています。
あと、理系を専攻した人は学生時に学会発表を経験することが多いのですが、私はそのとき所属していた研究室の教授が入院したため参加できなかったんです。
学生時代に研究をしていても、就職したら営業など研究に携わらない道に進むことも多く、そうなると学会発表の機会は「ほぼ無い」と思います。
ですので、今後の人生で発表する機会は無いかな……と諦めていました。それが今、こうして参加できるようになり、人生は分からないな、と嬉しく思っています。準備は大変ですが。
要旨や発表用ポスターなどの資料作りにも取り掛からないといけないですもんね。準備にはどれくらいかかっているのでしょうか?
約一ヶ月です。「分かりやすく伝える」ことを目指しているため、アレルゲンの研究メンバーの他、室長と理事長にも資料を見てもらいます。
分かりにくい箇所が無いかチェックしてもらうのですが、毎回たくさんのご指摘をいただきます。
この期間は、ほぼ実験は進められないくらい準備に集中しています。
オフの過ごし方を教えてください。
家事と育児でほぼ終わりますが、ウォーキング、読書、お酒は良い息抜きになっていて、ちょこちょこ楽しんでいます。
オフ中に仕事のヒントになりそうなものを見てアイディアが思い浮かぶ人もいるようですが、そういったことはありますか?
オフ中の方がリラックスしているので、意外とアイディアが浮かびやすいかなとは思います。
ただ、自分の性格上、考え出すとずっと集中して考え込んでしまい、子どもが話しかけてきても聞き流してしまったりするので、キリの良いタイミングで強制的に切り離すようにしています。
ウォーキングで仕事のことが思い浮かんだり、とかは。
趣味の時間は脳を休ませたいので、ウォーキングの時は「いい景色だなぁ」とかそんなことだけ思ってます。
読書もミステリーとかは疲れるので読まないですね(笑)。意外だと言われますが。
これからチャレンジしたいことはありますか?
現在アレルゲン分析で着手しているのが、特定原材料と大豆ですので、それ以外のアレルゲンにも着手していけたらな、と思っています。
また、作業効率化のためにExcelのマクロをもっと使いこなせるようになりたいです。
就職活動中の方へのメッセージをお願いします!
雑賀は優しい人が多く、困っているとすぐに誰かが声をかけてくれるような環境です。また、年齢や性別に関係なく、成果や行動がきちんと評価される体制だと思います。
研究開発方針は「技術を通じて社会に貢献できるか」ということを大切にしています。もちろん、「社会貢献できるなら、利益が無くてよい」というわけでは決してありません。赤字が続けば開発資金が無くなり、事業としての存続は難しくなりますからね。
そういった点がクリアできれば、結構何でもチャレンジさせてもらえる環境だと思います。
「何でも」といっても「気になるから……」というようなふんわりした理由では、バッサリ却下されるので、しっかりとした根拠が必要ですが(笑)。
あとは、一つの業務を最初から最後まで担当することが多く、「開発したら終わり」ではありません。開発後も、特許出願の準備や、開発した製品の営業なども必要に応じて担当することがあります。大変ではありますが、色々な経験を積むことができて自分のスキルアップにもつながり楽しいです。
根拠に基づいて行動できる方、チャレンジ精神のある方には、雑賀はおすすめかと思います。