営業・保守

O.M

2001年 中途入社

OさんがSAIKAを選んだ理由・キッカケを教えてください。

前職は他県で勤務していましたが、和歌山にUターンすることになったことがキッカケです。
SAIKAの名称は、新卒時の就職活動で目にはしていましたが、その頃は東洋ライスさんの関連会社……という認識でそれっきりでした。
改めて和歌山で就職活動するにあたり色々調べていたところ、SAIKAが開発した「果実に光を当てるだけで、みかんの甘さを数値化できる“光センサー”という装置」があることを知りました。実家が兼業農家でみかんを栽培していたこともあり、面白そうだなと思って応募しました。
ただ当時、光センサーは㈱エミネット(※)で製造・販売していたので、そのときはエミネットに入社しました。
※㈱エミネット=「SAIKAが開発した技術・製品」を製造・販売していたSAIKAの子会社。2012年、SAIKAに事業を引き継ぎ解散した。

エミネットに入社したOさんから見たSAIKAは、どのような印象でしたか?また、エミネットからSAIKAに移ったときに、ギャップを感じることはありましたか?

SAIKAには開発が好きな人、マニアックな人がいるイメージでした。
エミネットはわいわいガヤガヤしている感じだったので、それと比べたら黙々としている雰囲気でしたね。あとは女性が多い印象でした。
エミネットとSAIKAでは人の交流もありましたし、エミネットだけでは解決できない技術的な課題が発生したときは、SAIKAの技術者と一緒に解決にあたることもあったので、僕自身はSAIKAで働く人と頻繁に交流していた感覚がありました。それらが影響していたのかもしれませんが、ギャップを感じることはありませんでした。

普段の業務を教えてください。

今はアグリ事業(農業分野の製品、サービス)の営業と導入後のカスタマーサポート(問合せ対応、装置の点検・修理など)に従事しています。
最近では、現地を訪問するだけでなくインターネットを通じてお客様の装置に直接アクセスして装置の状態を確認し、必要に応じて装置を調整するリモート保守が増えています。
離れていてもお客様と様々な形でコミュニケーションを取ることで、装置を常に最適な状態で使っていただけるようにサポートしています。

SAIKAの営業は、製品やサービスを「売る」だけでなく、『次の技術開発』につながる社会の課題やニーズを見つけて開発担当にフィードバックする重要な役割を担っています。課題・ニーズをどのようにして見つけるのか、意識していることなど教えてください。

無意識です(笑)。
敢えて挙げるとするならば、当たり前の話ですが、お客様との会話でその奥にある思いをよく理解することと自社製品やサービスの特長を深く理解することです。
もう一つ、自分だけの判断で『できる・できない』を決めつけないことでしょうか。SAIKAには難題に対して親身になって相談にのってくれる技術者が多いので、必ずフィードバックするようにしています。
それらが思わぬ形で次の開発につながることもあります。

今まで、どのようなフィードバックをされましたか?

真っ先に思い浮かぶのは、みかんの浮皮(※)測定の改善に関することでしょうか。
SAIKAのみかん向け光センサーの主な用途は、果実の甘さ・酸っぱさを測ることでしたが、僕が入所した当時、お客様から「みかんの浮皮を測ってほしい」という強い要望が出ていました。
この要望を受けて開発・製品化(光センサーに搭載)した初期型では、みかんのヘタを上部とした場合、赤道部分(側面)にある浮皮を重点的に測定していました。
浮皮には「一部が浮いている」「中心部にも空間がある」など、赤道以外の部分にも症状が出ることから、お客様が要望するレベルと装置の測定結果にギャップがありました。
そんな中、あるお客様との会話の中で出てきた「みかんと野球選手は腰が大事なんや!! 腰部分が浮皮だと商品価値がない」という言葉を聞いて閃きました。
ここでいう腰部分とは、果底部(ヘタの反対側)を指します。つまりお客様が浮皮かどうか一番知りたい部分は、みかんの側面ではなく底の部分であることがわかったんです。
この情報をSAIKAの開発担当にフィードバックしたところ、「みかんの底」も考慮した改良につながり、お客様に満足していただける結果を得られるようになりました。
※みかんの浮皮=可食部と皮が剥離し、空間ができているもの。みかんを段ボールに詰めて出荷するときに箱の中で形が崩れ、腐敗を引き起こす原因にもなる。

フィードバックを伝える相手でもある開発担当との連携は欠かせませんね。

そうですね。営業と開発・製造・保守を含めた技術メンバーが連携した時の強さを実感することは多々あります。
あるとき、ジャガイモ向け光センサーのお客様から「長イモの粘りを測定できないか」と相談されました。そのお客様は長イモの「粘りの強さ」を売りにしたブランド化を推進されており、今後さらに売り出していくためにも安定した粘りの品質を維持したい、というお話でした。
イモはイモでもジャガイモとは大きさや形も違いますし、何より「粘り」はそれまで測定したことがなく課題もたくさんありましたが、SAIKAのメンバー誰一人として「できない」と言うことはなく、挑戦しよう!となりました。
SAIKAの「チャレンジ好き」とチームがまとまったときの強さを実感しましたね。
ちなみに開発した製品は今でもその長イモの選別に使っていただいており、ブランドを支える「無くてはならない存在」になれていたら嬉しいな、と思っています。

他にも印象に残っていることや、苦労したことがあれば教えてください。

みかん農家さんに向けた製品のRakudaを開発するキッカケになった、個人農家さんへの情報収集をはじめた頃のことが印象に残っています。5年くらい前でしょうか。
それまでSAIKAの製品は、高機能だけど個人で導入するのは難しい、大規模選果場向けの高価格なものでした。ですが、地元・和歌山にはJAには所属せずに個人で出荷・販売されているみかん農家さんがたくさん活躍されています。そういった方々に向けて、SAIKAの技術で悩みを解決する手助けができないだろうか?と農家さんひとりひとりに話を伺うことになりました。
単に、何かお困りごとはありませんか?と投げかけるだけではなかなか本当の実情を聞かせてもらえないので、まずは自分たちの製品(光センサー)を実際に使ってみかんの選別をしてもらいながらお話を伺うことにしました。
農家さんは陽が高いうちは収穫に追われるので、ヒヤリングは夕方から夜にかけて行います。みかんのシーズン、つまり冬なのでとても寒いんですよね。そこで会場にストーブを準備したのですが、選別用のみかんを持ってきてくださった方から「みかんが『汗』をかくからストーブは消してほしい」と……。農家さんの苦労の一端を垣間見た瞬間でした。
その後ヒヤリングを重ねるうち、仲良くなった農家さんの園地や倉庫を見学させてもらえるようになったのですが、倉庫での選別作業を見て「こんなに寒いのに……!」と衝撃を受け、これは何とかしないといけないとRakudaの開発に向けた強い思いにつながりました。

もうひとつ、平成22年の出来事も印象に残っています。
SAIKAの光センサーはジャガイモの中心空洞症(以下「空洞症」。※)も見つけることができ、ジャガイモの品質を測定する機械としてSAIKAは圧倒的なシェアを誇っているのですが、この年の測定であまりにも多くの空洞症の判定が出たんです。測定したジャガイモの8割くらいが空洞症と判定され目を疑いました。
今までの経験からすると「あり得ない」ことで、機械の誤作動かと思ったくらいです。半信半疑……むしろ機械の方を疑って空洞症と判定されたジャガイモを次々に切って確認したところ、全て空洞症でした。
正確に判定できていることに安心はしたものの、空洞症が多いということは農家さんにとって死活問題です。何故なら、空洞症と判定されたジャガイモは基本的に出荷対象になりません。
もとよりジャガイモは、1kgあたり50円前後、良くて90円、が農家さんの手取りです。肥料代も手間もかけて数十円の世界で出荷できないものが大量に発生したら、収入が無くなってしまいます。農業の難しさと、それを測定する装置を預かる責任を痛感しました。
※ジャガイモの中心空洞症=ジャガイモの生理障害。芋の中に空洞や変色が生じる。該当する部分を取り除けば食べることは可能。

仕事の「やりがい」を感じるのはどんなときですか?

「さすがSAIKAさん」と言ってもらえたときでしょうか。
Rakudaの試作機ができて農家さんにお披露目したとき、誰が見ても目立つ傷があるのにきれいなみかんだと判定されたり、その逆もあったり、とたくさんの課題が出ました。
一年後、改良した試作機で再度チャレンジしたときは、農家さんに納得していただける選別結果で「さすがやね」と。「あの状態からこの期間でここまでできるなんて、さすがSAIKAさん」と言ってもらえたのは嬉しかったし、やりがいを感じました。
また、一つの製品を使ってくれていた人が他の製品も導入してくれたり、SAIKAのサービスを知り合いに紹介してくれたりすることもあり、こういうときもやりがいを感じます。
SAIKAのことを信頼してくれているからこそだと思うのですごく嬉しいですね。

オフの過ごし方や趣味を教えてください。

休日は家でのんびりしていることが多いです。たまに実家で野良仕事。といっても今は家庭菜園の延長、くらいの規模です。
趣味はスポーツ観戦と読書で、好きな著者は東野圭吾さん、伊岡瞬さん、森村誠一さん、山崎豊子さんです。

これからの目標はなんでしょうか?

困ったときはSAIKAに相談したらなんとかなる、というSAIKAのファンを増やしたいです。 特に農家さんに増やしていきたいかな。
お客様の「困りごと」は農業に関するものとは限らず、多岐にわたります。お客様との会話に出てくる「困りごと」をただの話の流れとして済ませてしまうと、「SAIKAに相談してもなんともならない」となってしまいます。
そのときSAIKAが出している製品・サービスだけでなく持ち合わせの情報を活用することで、解決できたり解決の糸口が見つかったりすることもあると思いますので、できるだけ多くの人・業界、場合によっては異業種の情報も入手し、お客様の要望に広い視野で提案していきたいです。
それがファン作りにつながると考えています。

お客様の中には「Oさんじゃないと」という方も多く、SAIKAのファンだけではなく「Oさんのファン」も増えていると思います。
最後に、就職活動中の方にメッセージをお願いします!

SAIKAは会社としての規模は小さい分、社内外で親睦を深めやすく、職員それぞれが広い視野での物事の考え方、仕事の進め方を身に着けることができます。
夜遅くまで仕事をしなければならない、ということはなく定時後の時間を有効に使えて計画が立てやすいです。
資格取得等にも優遇があるので、ぜひ個々の能力を磨いてほしいです。