製品開発
K.K
2017年 新卒入社
Kさんは新卒で入所されましたが、SAIKAのことはどこで知ったのでしょうか?入所に至った経緯を教えてください。
和歌山県内の企業を対象にした合同説明会で知りました。といっても、はじめはアウトオブ眼中でした。
微生物学を専攻していたので「化学・薬品系の会社しか見えていなかった」のもありますし、「一般財団法人」というものが何なのかよくわからない、何をしてるのかわからない、というのもありました。
会場では予定通り、化学や薬品系分野のブースを中心に回ったのですが、早く終わって時間が余り、どうしようかなと思っていたところ、一緒に回った人がパンフレットを見て「研究所があるよ」と。
「へえ~、研究所かぁ……。まぁ時間もあるし」と、せっかくなので聞きにいこうかな、くらいの気持ちで最後に向かったのがSAIKAです。これが契機になるとは露ほども思わずに(笑)。
事前に情報を収集していなかったのもあり色々質問したのですが、技術的な質問にもしっかり答えていただきました。対応してくれた人が当時の「営業担当者」だったのですが、SAIKAは営業の人でも技術への理解度が高いんだ、と驚きました。それまでの求職活動で、技術的な質問の回答は開発担当が行う、というイメージを抱いてたので……。
あと、その人と上司らしき人の、良い意味で上下関係なく話しやすそうな雰囲気も「なんか良いな」と思った記憶があります。
説明していただいた製品の中に「アグリクリーン(青果物用光殺菌装置)」があり、殺菌は自分の分野とも被っていたのでどんどん関心が高まりました。その結果、「化学・薬品系」ではなく、そのとき初めて知ったSAIKAへの応募に繋がりました。
電気制御を担当されているので、元は微生物学出身ということに驚きました。趣味で機械や電気関係を触っていた経験があったのでしょうか?
いいえ。機械いじりが好きだとか、趣味でプログラミングしていたとか、電気回路への興味があったとかでもなく、それっぽいことといえば、オームの法則とかそんなのを中学で学んだなぁ……というくらいの、うっすらとした記憶しか無かったです(笑)。
ですので、電気制御のスキルは入所後に身につけたものとなります。
どのようにスキルを身に付けたのかとても気になります。入所一年目の流れを教えてください。
約半年間メタリダーの製造に携わったのち、光センサーの設置や調整を行いました。実際に製品を使っている現場での作業を体験することで、どういったものが求められているのか意識するようになったと思います。
それらと並行して先輩からほぼマンツーマンで、回路図の見方や書き方、FPGA(回路構成をプログラムできるデバイス)のプログラミングなど基礎から教えていただきました。
小さな基板の演習で自分が設計した通りのプログラムを初めて実行できたときは嬉しくて、新しいスキルを手に入れた高揚感がありました。
今まで自分が関わったことのない未知の分野(電気制御)への戸惑いや、入所前に抱いていたイメージとギャップを感じたことはありませんでしたか?
「何でもやろう」という気持ちを持っていたので、「未知の分野」への戸惑いは無く携わる業務の全てが新鮮でした。
ギャップと言えばSAIKAに対してというより仕事観になりますが、「上から指示されたことをいかに効率的にこなすかが仕事である」というイメージを抱いていたので、初めて「自分の意見」を求められたときは半ばパニックでした。学生時代は「先輩のいうことは絶対」な世界で育ち、社会に出てもそういうものだろうと思っていたため、意見を求められることは想定外でした。
「どうしてこうしたのか」「自分はどう思うのか」…といった質問攻めに、ボディブローを受けている気持ちでしたね(笑)。そこから、業務のひとつひとつに意味や自分の考えを意識するようになりました。
印象に残っていることや苦労したことはありますか?
入所して2年目に、規模としては小さなものでしたが製品開発プロジェクトのまとめ役を初めて任されました。数ヶ月で試作機を作り、農家さんの集まりで披露したところ、予想以上に好評で、皆さんに喜んでいただけてとても嬉しかったことが強く印象に残っています。
世に出るところまではいかなかったのですが、ユーザーの声を直接聞けたことが開発の原動力にもなり、貴重な経験を積むことができたと思います。
他にも、光センサーの精度向上に携わらせてもらったときに、ユーザーの前で実施したデモでとても良い精度が出た時は嬉しかったですね。それまでは一部のプログラムを調整するくらいの変更に留まっていたのですが、初めて一から新機能を追加したので、より一層「自分が作った」感が強かったです。
苦労したことといえば、先輩から引き継いだプロジェクトの課題が長期化して2年間悩み続けたのがしんどかったですね。
そういえば、試作機の「お披露目」があったのにどうなったんだろう?と思っていたプロジェクトがあります。
それが悩み続けたプロジェクトですね(苦笑)。SAIKAでも恐らくトップレベルの、僕から見れば雲の上の人みたいな先輩が開発を担当していました。
その方が退職されることになり、理事長から「どう?やってみる?」と聞かれて、「じゃあやってみます」みたいな流れで携わることになった気がします。
他の方から、大丈夫かな?と心配していたというお声もありました(笑)。
だと思います。その頃の僕は、初心者に毛が生えたようなレベルの『ペーペー』と言っても過言ではなかったので(笑)。僕自身も「大丈夫かな?」という不安はありました。なにせ、トップレベルから『ペーペー』への引継ぎですから……。
ですが資料も残していただき、引き継ぎの時点で仕様もほぼ固まっていたこともあって、「試作機のお披露目」までは比較的順調に進みました。「お披露目」が終わればプロジェクトとしては山場を越えたのも同然なので、「リリースも目前、残りもなんとかなるだろう」という、割とポジティブな気持ちでした。
そんな中、さらに試験を行ったときに、どうしてもクリアできない項目が出てきたんです。計算上、そんなことになるはずがないものだったので、「どうしよう!」と。
直ぐに先輩や理事長に報告して、原因が特定・解決できるまでリリースを延期してもらうことになりました。そこからの2年はなかなか前に進まず悩みに悩みましたね。解決の糸口が無いかと資料を何回も確認したので、図面は完全に頭の中に叩き込まれました(笑)。
「お披露目」したのにそこから音沙汰が無いように見えていたのは、そういった事情があったんです。
そのプロジェクトの製品がこのたびリリースを迎えました。問題はどのように解決されたのでしょうか?
実は、2年前にお披露目したものと、今回リリースしたものは中身が大きく変わりました。製品をイチから作り直したと言っても過言ではありません。
これは、先ほど述べた問題がキッカケのひとつではありますが、プロジェクトの方向性を決める部分で大きく履き違えていることに気が付いたからです。
開発に携わる人には多少なりとも共感していただけるんじゃないかな、と思うのですが、僕たちは「こういうのがあったら便利だよね」という気持ちで、どんどん技術を詰め込みたくなるんです(笑)。今回の件を例えるなら、自動車を作ろうとしているところに、レースカー並みのスピードを出す技術を詰め込んでいた、その性能が必要だと思い込んでいた、という感じでしょうか。
でも、実際にターゲットにしているのは買い物や通勤に使う人たちなので、300kmの速度が出せることよりも燃費が良い方が求められているものであり、喜んでもらえるものだった。
振り返ってみればものすごく基本的なことですが、ユーザーが本当に必要としているものは何なのか、といったことから見直して、レースカーの技術を活かしながらも、日常向きの自家用車を作っていった……という感じです。
ところで僕、結構ギリギリなこと話してると思うんですけど、大丈夫なんでしょうか?
ダメだったら公開前に上からストップされると思うので、ここでは気にせず話してください(笑)。
オフはどのように過ごしていますか?
絵を描くのが趣味なので、基本は家に引きこもって絵を描いています。
最近子どもが生まれて引っ越しもしたので、家事や荷物の見直しを考えている時間も多いですね。
男性育休(パパ育休)も活用されていました。SAIKAでの「働き方」はどのように感じていますか?
会社から残業をなるべく少なくするように働きかけていて有休も取りやすいので、プライベートの時間をしっかり確保できるところは魅力的だと思います。
事務所でしか出来ない業務と場所を問わずに出来る業務を分けて、後者を在宅勤務で集中的に進める……という風に、自分でもしっかり計画を立てる必要はもちろんありますが、在宅勤務や男性育休など柔軟に対応してもらえます。育休から復帰したときも、スムーズに仕事に戻ることができました。
年齢に関係なく話しやすい方が多く風通しの良い雰囲気ですし、自分に合った働き方ができていると感じます。
Kさんにとっての仕事の「やりがい」や、これからチャレンジしたいことを教えてください。
自分が考えて作ったものや改善したものが、世の中に貢献できるところにやりがいを感じています。
最近では、新型メタリダーのダンパー制御に携わりましたが、一から自分でプログラムを設計したものが新製品として世に出せたのは、とてもやりがいを感じられた瞬間でした。開発したものが製品化できると確信できた時の達成感には格別のものがあります。
今後の目標としては、もっと複雑で規模の大きなプログラムの開発にもチャレンジしたいと考えています。自分から先回りして「こういうものが作れます」と提案していけるようになりたいですね。
就職活動中の方へのメッセージをお願いします!
自分は畑違いの分野から飛び込んできて、なんだかんだここまで続けられています。
SAIKAであれば「今」はまだ特別なスキルを持っていなくても、SAIKAの製品や技術に興味を持ってくれた方であれば問題無くチャレンジできると思います。
あとは……SAIKAは「放っておかれても気にならない」人が向いてる気がします。というと響きが悪いかもしれませんが(笑)、誰も教えない、という意味での放置ではないです。ひとつひとつに細かい指示があるわけではないので、目標をどう達成させるかの過程を自分で考えて動ける人に向いてるのではないでしょうか。
高い技術や専門知識を持った先輩が多く相談もしやすいので、勇気を持って飛び込んできてほしいです。